☆銀しゃ~りんです。☆

果てしないたわごとをつらつらと

【アム1】

日が沈む
太陽はこの国での役目を終えて、また次の国を照らしに行く。

夜が来る
色とりどりの草花も、人も車も、素晴らしい景色も、均等に闇夜に染め上げる。
わずかな月明かりは、淡い光でかろうじて色を魅せる。

日が昇る
太陽はこの国での役目を果たしに顔を出す。
前の国では雲に阻まれたらしく、雲一つない快晴のこの国ではえらく機嫌がいい。

昼が来る
闇夜に染められ、眠っていたモノたちが一斉に目覚め始める。

日が沈み…
太陽は、また次の国を照らしに行く。


『僕たちの世界はだいたいこんなもん。君の世界を教えてくれないかい?』

「私たちの世界…君たちの世界のように、昼と夜という概念はあるが君たちの世界で言う所の毎日ではない、そしてこの地球のように水、草、花、などもない。暗く淀んだ日が長く続き、、日の光を浴び続ける日が長く続く、私たちもどのように生まれ、何を目的に地球に来たのかわからない。」

『ふーん。。。地球では君たちのような存在を信じている人と信じていない人がいるんだ。僕は信じている派。だからこうして話ができるのが嬉しくてたまらない!あ、言語はなんで通じるの?』

「私にもわからないんだが、君の話す言葉は理解できるんだ。」

『そうなんだ。機械とかついてないから不思議だなーとは思ったんだ。なんでたろうね?』

「私も所々記憶がないからな。解れば色々君に話すことができたかもしれないが、すまない。」

『いや、いいんだ。少しずつ回復してくれれば。でも君の姿だと僕の家族はいいとしても、村の人がビックリしちゃうね。』

「そういや、君とは身長が違いすぎるな。慣れたがこの地球は歩きにくい。」

『ん?そう?』

「うむ。なぜか体が重く感じる。」

『重力があるからかな?僕たちは、地球の重力に縛られて生きているから。だから身長も伸びにくいのかも?』

「少し思い出した…私たちは住んでいた世界で数々の訓練をうけていた。骨を丈夫にする薬を飲み、それをささえる筋力をつくり…私たちの世界でも、重力という概念はあったのかもしれない。」

『君の世界ってもしかして…アレ?』

「…ここからも見えるのか…君たちの世界では確か…月と呼ばれていたかな?」

『そう、月!』

「月…か…。」

『確か、地球にくらべて重力が3分の1だったり、僕たちは月の裏側を永久的に見れなかったり、色々合致する点があるからもしかしたらと思って。』

「そうなのかもしれないな…。この地球に…いつごろ来たか覚えてないが、来たときから月の存在は気にはなっていた。私が住んでいたのは何番目の月なのだろうか。」

『へ?月は一つだよ?』

「?」

『地球に隠れて見えなくなっていく部分があるから、そこが夜になってるって言えばわかるかな?』

「そうだったのか。」

『うん。』

「…」

『さて、と。お腹空かないの?』

「お腹?あー、食事か。うむ、食事はとりたいな。」
『だよね〜。はい!パンあげる。』

「パン…もそもそするやつだ。」

『文句言わない!』

「うむ。…ありがとう?だったか?」

『うん♪』

「君の名前…そう、名前だ!私の名前は………マイク…そう!マイク!」

『お!名前の概念はあるのか!…そりゃそうか…僕の名前は、川口満月…カワグチミツキ!』

「ミツキ……マイクだ、よろしく!」

『うん、マイク!よろしく!ってなんか外人さんみたいだね。。。』

「ん?」

『姿形も僕たちに近いし、ただ身長がちょっと高いくらいで…名前や、握手を求める感じとか…外人さんみたいだね』

「外人…地球の外の人ではあるか…」

『あ、そうか』

「はっはっは…私は今楽しい。ミツキに会えてよかった。」

『僕も、マイクと話せてよかった。しかし…マイク身長何センチあるんだろ?』
「ミツキは何センチだ?」
『僕は、170センチ。中学では大きい方なんだよ?』

「ミツキの約二倍くらいかな?320センチ。私の世界…月…うん、月としよう。そう、月では平均的な身長だな。しかし、私たちに支持をだしていた上官は180センチくらいだった。」

『へー…マイクみたいなのがいっぱい………ん?なんか大通りの方が騒がしいね?パトカーかな?』

「私の船が見つかったのだろうか。」

『へ?船?』

「言ってなかったか?不時着した船を林の中に隠したんだが…なにせ一人乗りとは言えでかくてね。」

『ちょ!?』

「さて、今後どうしたものか…」

『ちょっと隠れてて!様子見てくる!』

「うむ。」

(ミツキ…地球のものがみんなあんな人ならいいが。。。
私の使命はなんなのだろう、船に行けば思い出すかもしれないが、今は、ミツキに従おう。
月、か…我が生誕の謎も解明したい所だな。)

 

『マイク!起きて!』

「ああー、ミツキ。どうやら私は寝てしまったようだな。」

『船……宇宙船だ!って言ってすごいテレビとかで話題になっちゃってるよ!』

「…そうか。船に帰れば何か思い出すと思ったんだが。」

『もう、多分…触ることもできないと思う…』

 

[た、大変です!宇宙船が発見されました!私たちもこの謎を全力で追いたいと思います!いったんスタジオに返します!]

「現場からのレポーターでした。しかし世紀の発見ですね。ここでファックスを紹介致しましょう。
(宇宙船!すごい発見!宇宙人は本当にいたんですね!)
(本物という証拠はあるのでしょうか?)
(近くに宇宙人はいますか?)
等々、興奮と疑問の声が飛びかっております。」

 

満月の父「ミツキー!テレビ見てみな?宇宙船だってよ!さ、マイクさんも一緒にどうですか?クイッと?」

マイク「ありがとう。ミツキの父上は私が怖くないのですか?」

父「急に満月が連れて来た時は驚いたがね、満月の必死さと、マイクさんの丁寧な対応に心打たれました。ははっ、外人さんにはちょっとわからないか。心打たれたってのは。」

マイク「そんな事ない。ミツキやミツキの家族の優しさに心打たれました。」

父「はっはっは!言うね!やるねー!さぁさ!飲んで!」

マイク「では、お言葉に甘えて。」

『父ちゃん!あんまりマイクいじめないでよ!』

父「バカヤロウ!俺はマイクさんと男の付き合いしてるんだ!ミツキも大きくなればわかる!」

『ふぅーん。あれ?そういや母ちゃんは?』

父「マイクさんに腕を振るう!って張り切って買い物にいっちまった。今日もうまいもんが食えそうだ!」

『母ちゃん本気だね…マイク食べれるかな?』

マイク「ミツキ、心配ご無用!私の胃袋は宇宙デース!!」

『あ、あーあ。』

父「お!」

マイク「さぁ!父さんも飲んで!今日は朝までレッツパーティーデース!」

『酔うとやっぱり陽気になるんだねぇ〜…こう見てると地球人と変わらないだけどなぁー。』

母「ただいまー!」

マイク「オー!ママー!おかえりー!」

母「あらあら、マイクさん酔っちまって!陽気でいいねー!今おいしいもん作って上げるから待ってな!」

マイク「イエッサー!」

『駄目だこりゃ…』

マイク「いやー、楽しい!こんなおいしい料理まて、私にも家族がいたのかな。家族……そうだ、思い出した!私の故郷の…故郷の言い伝えを話します。」

父、母「よ!待ってました!」

『マイク!無理は…』

マイク「ミツキ、ありがとう。でも大丈夫。君に出会い、君の家族と接するうちに記憶が結構戻ったみたいなんだ。ただ少し曖昧な所はあるけれど。」

父「うん。マイクさん、あなたの故郷の言い伝えを聞かせてくれないか?」

マイク「はい、彼の地よりいでし我らが先祖、この地の民を味方に携え、力を合わせ街を作る。街に住みし先祖と民、やがて民の大半は寿命をむかえ、街には先祖が住み着いた。街のはずれで民と先祖が初めての子を授かり、以後その子は、アムと名付けられ崇められた、街の初代統治者は民の父親で、先祖と娘の子アムを二代目とし育て上げ、息耐えた。
アムは人々の意見を聞き入れる、素直で立派な統治者だった。
しかし事件がおきた。
アムの統治により、民と先祖は仲良くやっていたのだが、アムは体は大きいが弱く20歳をすぎる頃には3メートルを超す身長になり、一人では立てなくなっていた。
民からすればごく普通の身長ではあるが、先祖にとってみれば自分の倍の身長である。
アムは身長は大きくとも、骨や内臓が先祖の規格だったため、耐えきれなかったのだ。
アムの体調はみるみる衰えていった。民と先祖はアムを治そうとお互い協力し人力を尽くした。
しかし、アムが寝込み3年が過ぎたころ、アムは語る。
わが父、わが母、彼の地よりいでし者、そして民よ、私はもう長くはない。
彼の地と民の最初の子として、街のためになる事をしてきたつもりだ。だが、足りぬ。
今後益々増えるであろう、同族となる者達の、体の造りは我と同等になるかもしれぬ。
ならば、また力を合わせ、我のような悲劇の起きぬよう子孫たちの体づくりを強要せよ。
そう言い残し、アムは24歳でその人生の幕を閉じた。
アムの遺言を聞き入れ、先祖と民は内臓、骨の強化を幼少の頃より強要し、内臓が耐えうる体づくりが確立される頃には平均寿命が、50までのびていた。
しかし、その頃にはすでに先祖と民の姿はなく、街の民は全て、アムと同族、総してアム族と呼ばれる者達だけになっていた。」

『じゃあ、マイクはアム族なのかな?』

マイク「そうかもしれない。民は月の民だとわかったが、彼の地よりいでし者とはいったい…」

 

[ニュースです。先日彩多摩県で発見された宇宙船ですが、部品の一部にNASUと同型と思われるものが調べによりわかったようです。現在、鳥山総理がアムリカのオハマ大統領と会見し関連性について質問をしているようです。]

『アムリカ…』

父「そういや、過去にアムリカは月面着陸に成功しているという記録があったそうだよ。」

母「そうね?私のおばぁちゃんのおばぁちゃんの時代だから、100年はたつかしら?」

『…アム族は月の民とアムリカの…マイク!』

マイク「うっ…頭が……」

父「…マイクさん!」

マイク「…大丈夫です。久しぶりにお酒を飲んだからか頭が…」

母「もう、遅いから寝ましょうか。料理もあらかた平らげてくれたし♪」

『うん。さ、マイク布団にっ…っても二枚ひきだからちょっと寝にくいかもだけど。』

マイク「いや、ありがとう。ミツキ、ミツキの父さん、母さん、ありがとう、本当に。」

 

満月(アムリカ人の百年以上前の月面着陸と、月の民…マイクはアム族として間違いないだろうなぁー。しかし…月の民は月にずっと住んでたのかな。色々気になるけど…考えてもしかたない…もう寝よう…)

 

[朝のニュースです。彩多摩県宇宙船事件の速報が届きました。アムリカNASUの部品が使われていたと疑われる宇宙船の部品の鑑定な結果、同様のものであると言わざるをえないとの解答が届きました。オハマ大統領と鳥山総理は、なぞ解明の為全力を尽くす事を約束し、会見を終了しました。]

『やはり…』

マイク「オハマ……」

母「おはよう!」

『おはよう。』

マイク「あ、おはようございます。」

母「さぁ、難しい顔して難しい事考えるなら、ちゃんと朝ごはん食べなきゃ!」
『はーい』

マイク「はい。」

 

[続いてのニュースです。今日は京東の野上でアポロン計画の展示会が開催されます!先日の彩多摩の事件でタイミングもよく盛り上がるんではないかと言う見解もありますので、みなさんお早めにお越しくださーい!グッズもいっぱいありますよー!]

[ありがとうございました!いやー、盛り上がりそうですねー♪]

 

『マイク…行ってみる?』

マイク「しかし…この身長では…」

『そっか…わかった!パンフレットだけ買ってくる!それで、謎がとけるかわからないけど…』

マイク「いや、ありがとうミツキ。お願いするよ。」
『じゃあ、ちょっと言ってくる!』


続く